種蒔き後には、お水をあげないのだ。

庭を菜園にしてちょうど1ヶ月が経った。

 

見事にハマってしまい、現在だいたい六畳くらいのスペースに苗を植えたり、種を蒔いたりしている。

今まで種蒔きから野菜を育てたことがなかったのだが、今回初めて種を蒔いてみて、どの種もちゃんと土を割って顔をのぞかせてくれるので、可愛ゆくてならない。

鳥の雛が卵の殻を破って出てくるのと似ている。

 

種蒔きで大事なのは、種を穴に置き、土を被せた後に、「水やりをしない」ことだ。

これは、いつも観ているそーやんさんのYouTubeで教えてもらった。

種蒔き後に水をやっても土の表面しか濡れないため、種は浅くしか根を伸ばさないのだそうだ。

雨が降るまで土の中でひたすら待たせる。

「忍」の一字である。

雨は人為的な水やりの何十倍も土に浸透するので、種はその中で底の方まで根を張ることができる。

ここで種の気持ちになってみる。乾燥している種は休眠中である。

 

種彦クン。

地面に蒔かれて土を被せられ、水をかけられると、「目を覚ましなさい!起きなさい!」の合図。「ひゃーっ‼︎ビックリした‼︎なになに、なんなの〜!」とビックリしてピョッと根っこを出す。自分のすぐ下の水分を含んだ土までは根っこを出したぞ。「まあ、こんなもんでしょ。じゃ、次水もらえるまでゴロゴロしてよ〜。」

翌日、すぐにまた水を与えられる。水分は自分の周りに溢れてるから、前に伸ばした根っこで充分事足りる。チュウっと吸ってまたゴロゴロ…。

 

一方、土を被せられて水を与えられなかった種太郎。

「なんかじんわり湿っていてあったかいとこに来たぞ…」「まあ、でもまだ眠いから寝てよ〜」

数日して、身体が周りの土に馴染んできて、カラカラに乾燥してた殻も柔らかくなって自分から目を覚ます。でも、周りに水分はない。「えっ、ボク水無いとやばいんですけど…。のど乾いちゃって死にそう。せっかく目を覚ましたのに、まだ死にたくないよー。あれ、下の方はここよりもっと湿ってるみたいだ。よし根っこを伸ばしてみよう!」

ありったけの力を振り絞って根っこを深く伸ばして行きます。

 

ある日、種彦クンの育て主は水やりを忘れてしまいました。いつも決まった時間にきちんとお水を与えられてきた種彦クンはパニック状態。「えーっ勘弁してくれよ〜。マジで水くれないのー!」必死で水を求めるけど根っこは短くて細くて頼りない。あっという間に体力を消耗してやる気も失せて拗ねまくり、「ボクを放っておくなんていい度胸だ。だったら病気になってやる。弱ったボクを見たら反省して泣くかもな、いいキミだ。泣いたって許してやらないから…」と言って、シナシナになってしまいました。

翌日、シナシナになった種彦を見つけた育て主は、

「あーあ、また失敗しちゃった…。野菜を種から育てるのって難しいわ〜」と言って、種彦を引っこ抜きポイっとゴミ箱に棄ててしまいました。

 

ひと月が経ちました。初めから一度も人間から水をもらったことのない種太郎は大風が吹こうと、雨の降らない日が何日続こうとへっちゃらで豊かな葉っぱを揺らしています。種太郎の根っこは下にも横にも長く長くネットワークを張り巡らして、どんな時も水分も栄養も自分で調達できるようになっていたのでした。種太郎は自立した逞しい苗へと成長したのです。

 

チャンチャン。

 

「野菜作りは子育てに似ている」という言葉を聞きます。

甘やかし過ぎてはひ弱で病気がちで手ばかりかかる子になってしまいます。

子供の生きる力を信じて、見守りながら放任する、というそんなスタンスを取れたらいいのかも。

という訳で、我が家の菜園の苗や種たちは、ほとんど雨のみで育っています。

 

あっ

虫に関しては、いちいち過保護です。(汗)

自然農を知らない時に菜園を始めてしまったので、雑草を抜きまくってしまったからです。

雑草が生えていてくれれば、虫たちは雑草のほうも食べるので、野菜ばかり喰われるということはなくなります。

でも、今回、全部引っこ抜いちゃったので、青虫もバッタも捕まえては強制移住させています。

本当の自然農では虫に関しても、見守りつつ放任するんじゃないかな。

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オンブバッタ。下の大きい方がメスです。

 

【新しく知ったこと】

オンブバッタとショウリョウバッタは違う!

ショウリョウバッタの方が細身でゴツゴツした感じ。

ずっと同じ虫を指してるんだと思ってました…